抱かれた日①

「日にち改めてな」は始まりの日から約10日後の週末に決まった。私は本業以外不定期に泊りがけの仕事に行く。これは趣味の延長みたいなもので、家族公認の泊まりです。この日もその仕事だと予定を伝えた。一人で泊まるつもりで中間の駅近くのホテルを予約した。

彼を好きだと確信してからも夫とは営みがあった。別の部屋で寝ているから入って来られると断れない。身体を貸してあげます、早く終わってと思いながら。夫婦である以上仕方がないと割り切っていた。

愛がないと抱かれたいとは思えない。

愛したことがないから思ったことがない。

約束の日まで私は平静を装った。頭ん中は彼とのことばかりだったけど。

ついにその日を迎えた。初夏のような半袖で過ごせそうな良い天気。残業をしなくていいように早めに出勤した。

一度自宅に戻り主婦業を済ませ急いで電車で向かった。

チェックインをして部屋に入ると真っ白いベッドが。罪悪感とためらい、迷いが出てきてしまい帰るなら今のうちだ。

テレビをつけて寝転んだ。 不覚にも寝てしまった私。そう、数日間緊張してよく眠れずにいたからだ。彼からのメール着信音でハッと気付き、30分以内に到着すると。

18時過ぎにチャイムが鳴った。ドアを開けると彼がいた。

もう迷いなんてものは微塵もなくなっていた。

泊まることは彼に伝えていた。すると

「一人で泊まるのかわいそうやし、オレも泊まるわ。特別やで。」なんて嬉しい誤算!時間がいっぱいある。聞けば次の日朝から仕事で遠い現場に行くらしく前乗り的に泊まれるみたいでした。

カフェとカラオケボックスでしかデートしてない私たち。人目が気になりつつ近くの地下街にあるお好み焼き屋さんに入りました。

お酒が飲めない2人はコーラで乾杯🥂同じ物を食べれるなんて幸せ。お腹が満たされた後コンビニで飲み物など購入してお部屋へ。

エレベーターの中でしっかり手を繋ぎ彼がカードキーで開ける。

夢の時間がはじまるなぁ。

彼に満たされた時間でした。