始まりの日

彼はメールとか電話が苦手だと言う。

だから私へのメールも二行だけだったり、平仮名だけだったり…へたくそです。

でも私を思い出して打ってくれてると思うだけで嬉しくなる。

離れてるから毎日顔見れないから彼だけのメール着信音が鳴るとときめいてしまう。

短い文章を何度も何度も読み返している。

返信はすぐには送らないことにしています。1日考えて彼への思いを込めて送る。

そして「今日も好きです。」を忘れず付け加えて。

彼のいない職場にも慣れていった。逆に彼がいないから思う存分仕事にのめり込んでいけた。

忙しくしていると時間が経つのが早い。疲れているから眠りも深く気がつけば朝になっている。

数週間後の週末わたしはカフェに向かった。

ふんわりしたスカートを履いて。

カフェで彼を待つ時間は彼のことしか考えていない。彼が机をトントンとたたいた。

すぐにでも飛び付きたいけど人目があるから移動。またまたカラオケボックスへ。最初から隣に座り幸せな時間を過ごした。

「今日から付き合おうか?今日始まりやで」やっと言ってくれた!嬉しくて嬉しくて座っている彼の上に乗りキスをし耳元で囁いた。

「抱いて欲しい」と。

若くない二人だからキスで十分と思っていたのだけど。彼に抱かれたい願望が日に日に大きくなっていった。愛する人と裸で抱き合いたい。包まれたい。結ばれたいと。

「日にち改めてな。」

帰る時間が迫り店を出た。駅までの道彼のポケットの中で手を繋いだ。

「また連絡するしな。ありがとう」

次に会う日までまた頑張ろうと思えるのだった。