彼からの報告

好きな人に抱かれる幸せを感じていながらも

家族を持つ自分の立場から逃れられないこともよくわかっている。子供達はもう大人だけど母としての責任はまだ残っている。

両立しなければいけない。

いつかは自由になりたいとも思う。

一人で生きていくことになっても。


彼から2度目の結婚生活を終わりにしたいと告げられたのは夏真っ盛りの日だった。

彼には前妻に実の子供1人、現妻は連れ子1人と再婚とのこと。彼の言い分しか聞いてないけれど大事にしてもらえてない長年の不満がたまりもう耐えられないらしい。破れた靴下やボロボロの靴を見たら本当なんだと思う。些細なことでえらく喜ぶ人だなぁとは思っていた。仕事をしている彼のズボンが破れていることに気づいた時その場で繕ってあげたら何度もありがとうと言われた。主婦だからなんでもない事なのに。付き合い始めて自分の布団だけ干してもらえない、帰ってもオレだけ御飯がないと。懐かない義理の子どもも可愛いと思えない。居場所がない1人になりたいと彼から聞いていた。

「簡単に離婚は出来ないと思うよ。二度目の失敗は避けたいはずやし、生活していくこと思ったらお給料運んでくれるあなたを手放さないはず」

だけど彼は離婚の前に部屋を借りて家を出たのだ。不動産屋と契約してから報告を受けた。

私にだけ場所を知らせて。

直ぐにでも部屋を訪ねて身の回りのお世話をしたい。でも今は行けない。彼以外のすべてを失う覚悟がないのだ。若くもない自分にその勇気が足りない。彼を失いたくない、彼の側で生きたいのは本当の気持ちだけど。