彼の靴下
仕事は休むことなく彼に会うため、いや見るため頑張っていた。必要なこと以外話をしない、話しかけられないようにしていた。
いつものように彼を見ていたある日気付いたことがあった。靴下が破れている、私服の上下も2パターンしかなくヨレヨレ、靴は夏でも同じ冬用の生地のもの。
そして彼は家庭の話はしない。こちらから聞いてもはぐらかしたりあまり言わない。
後に付き合う事になる時、お互いの話をじっくりした時に家庭の事を知った。
そうやったんか。私が大事にしてあげたいと心から思った。
仕事は忙しくハードでみんな疲れていた。そんな夏の暑い日A子が退職する事になった。
周りの同僚からA子に対する不平不満の声が出てきたのだ。みんな身体が弱いから配慮しないといけないと思いつつも仕事について来れてないA子に冷たくなっていた。私も含めて。
私は違う理由もあったが大人気ない。
でも少しホッとしたのも事実。
そしてあと何回彼と仕事できるかな?
今日も会えた嬉しさより会えなくなるその日が来ることに怯えていた。
片思いなのに彼に会えないと想像しただけで
涙がでた。
ある日またまた私の態度にイライラした彼から
俺のことなんで無視するんや?
気まずくなってしまった。
言葉が出てこない黙ってる私に
もうええわ‼️
大きな声でそう言って去っていった。
どうしようどうしよう怒ってる。オロオロして謝らないと早く!早く!すぐにごめんなさいのメールを送った。
返信はない。待っても。もう一度メールをする勇気はなかった。こわかった。
次の日の朝ついに言ってしまった。
退職覚悟で。
わたしの気持ちはもう止められなくなってしまっていた。
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