秋になり、益々仕事が忙しくなっていった。職場では病気を公表していないので見るからに健康体の私に体力を使う仕事が回ってくる。
できません!なんて性格上言えず頑張っています今も。一応主治医には仕事の内容を伝えて許可をいただいてるので大丈夫です。
この頃から彼とはよく目が合うようになった気がしました。多分わたしの視線を感じているのか?いつも彼を目で追ってるからだと思う。半分告白したようなもんだし。
そういう時はニコッと笑うようにしました。
この会社の敷地内でだけ思わせて。
敷地から一歩でも出たらわたしはお母さん、嫁さん。切り替えて帰りを急ぐ毎日でした。
秋も深まりつつある時、転勤というワードがついに彼の口から出始めました。
決定ではなくいつかわからないけどあると。
年明けにはわかる。
あと長くても3か月か。平然としていないといけない私。心の中は動揺しまくっていました。
泣くことが増え、また彼に話しかけられなくなっていきました。
彼がいなくなる、会えなくなるなんて。
これでいい。ちょうど良かった。泣いてすむ。
さみしいのにも慣れていける。
自分に言い聞かせながらその日が近づいて来ることに怯えていました。